札幌市立大学 SAPPORO CITY UNIVERSITY

研究指導事例

博士前期課程の教員によるさまざまな研究指導事例についてご紹介しています。

研究指導事例(2018年度)

病気をもつ子どもたちの育ち・遊び・学びをバランス良く支援します
研究テーマ:小児看護、成育看護、移行期支援、ヘルスプロモーション、発達障害、小児慢性疾患キャリーオーバー
看護学部長/教授 松浦 和代
[実践看護学分野] 母子看護学領域
小児期発症慢性疾患と言われる病気をもつ子どもたちが、成長・発達を遂げていくために、育ち・遊び・学びをバランスのとれた形で実現できるよう、支援を研究しています。児童虐待も主要テーマです。このゼミでは、子どもの人権を尊重する高い倫理観が求められます。ゼミ生は議論の中で臨床現場での問題意識を明確化し、各人のテーマを探求しています。医師に「歩けない」と診断された子どもが継続的な看護とリハビリにより、歩けるようになった事例などは、小児看護の醍醐味の一つですね。私はモンゴル国での育児指導にも取り組んでおり、研究成果を生かした国際的な貢献も進めています。

臨床に始まり、臨床に還元されるがん看護の実践的探求を目指しています
研究テーマ:がんサバイバーシップ、がん薬物療法、緩和ケア、エンド・オブ・ライフ・ケア
教授 川村 三希子
[実践看護学分野] 成人看護学領域
がん薬物療法や緩和ケア、エンド・オブ・ライフ・ケアなど、がん看護に関わるテーマに広く取り組んでおります。現在のゼミ生は若年性乳がん患者のセクシュアリティの変化のプロセス、分子標的薬による皮疹を体験したがん患者のセルフケアなどがテーマです。研究のテーマ設定においては、学生の臨床疑問(リアルリーズン)を大切にし、研究のシーズを丹念に拾い上げ、ディスカッションを積み重ねながら研究の社会的意義を明確にしていきます。また、必要な課程を履修すれば、がん専門看護師(CNS)の受験資格を取得でき、さらに高度ながん看護実践力を養うことができます。臨床に始まり、臨床に還元される探求をともに目指しましょう。

地域で安心して暮らせる社会へ 在宅看護のリーダーを育成
研究テーマ:在宅看護実践、在宅神経難病療養者のQOL、在宅看護の質評価、在宅看護の教育方法
教授 菊地 ひろみ
[実践看護学分野] 地域生活看護学領域
住み慣れた地域で、最期まで生活し続けられる「地域包括ケアシステム」の実現に向けて、在宅看護の知識・技術・マネジメントのレベルをより向上させていくことが必要です。在宅看護に関わってきたゼミ生たちが、それぞれの経験からテーマを設定し、探求しています。また、所定の科目を履修することにより、在宅専門看護師(CNS)の受験資格を得ることができます。CNSを輩出することで、この分野のリーダーを育て、安心して暮らし続けられる地域社会づくりに寄与しています。従来、在宅看護には一定のキャリアが必要とされてきましたが、新卒からでも活躍できる環境づくりに向けて研究を進めています。

研究指導事例(2017年度)

専門性の高い看護師の育成に向けた教育を構築しています
研究テーマ:看護人間工学、基礎看護技術、入院生活環境
副学長/看護学研究科長/教授 樋之津 淳子
[実践看護学分野] 看護技術学領域
看護人間工学を通して、用具の改良や病院の環境改善などを人間工学の視点から提案でき、同時に様々な看護技術の改善や向上に取り組むことができる人材を育てています。臨床現場はテーマの宝庫ですから、日々の疑問を学問的にテーマ化して研究し、成果に結び付けて、再び現場に還元してほしいですね。
大学院での研究について迷っている方、テーマを絞りきれない方、まずは研究室を訪れ、教員に相談してみてください。ご連絡をお待ちしています。

社会から人を健康にするしくみづくりを目指し地域社会のありようを追求しています
研究テーマ:公衆衛生看護、社会疫学、健康情報、ヘルスリテラシー
教授 喜多 歳子
[実践看護学分野] 地域生活看護学領域
公衆衛生看護学を通して、人々が健康的な行動を選択できる環境として、「健康の社会的決定要因」を研究しています。健康状態は、個人の保健行動や医療などへのアクセス以外にも、地域社会の結び付きや社会格差などが大きく影響しています。またライフコースの立場では、胎児期を含めた子どものときの社会的環境が生涯の健康状態に影響していることがわかってきました。「健康の自己管理」に留まらない広義の保健指導として、母親が自信をもって健康に子育てできる環境と、親子を見守り支えるコミュニティづくりを視野に入れた看護の展開も研究課題の一つです。

精神看護技術を可視化するための教育を通じ精神看護専門看護師を養成しています
研究テーマ:精神障害者、精神保健福祉、地域生活支援、セルフヘルプ・グループ、エスノグラフィー、自殺予防、メンタルヘルス
准教授 守村 洋
[実践看護学分野] 精神看護学領域
治療的人間関係論をベースとして、精神看護学演習においてシミュレーション教育を中心に行っています。これは精神看護技術を可視化するために、院生、研究生同士がカウンセリングのロールプレイングを行い、それをビデオで見て客観的に関わり方を研究するものです。このシミュレーション教育を通して自分のコミュニケーションを振り返るようになり、臨床現場で患者との信頼関係も深められるようになります。

研究指導事例(2016年度)

学生自身の価値観が問われる母性看護、看護倫理と真摯に向き合う。
研究テーマ:母性看護、助産、看護倫理、性暴力被害者支援、女性の権利
教授/助産学専攻科長 宮﨑 みち子(実践看護学分野 母子看護学領域)
当ゼミでは、主に母性看護学・助産学を中心とした研究をすすめます。学生の研究例のひとつに、「妊婦の腰痛とセルフケアの実態」があります。これは妊娠中のマイナートラブルに女性がどう対処しているかを調査し、妊娠中の生活の質について考える研究でした。
また、私自身が長年、女性の権利を主題にしてきたことから、看護倫理に関する研究、例としては「人工妊娠中絶を受ける女性にかかわる看護者の感情と看護ケアとの関連」のようなテーマも扱います。女性をとりまく状況は時代につれ変化し続け、看護者の価値観も多様であるため、「女性の権利」と「胎児の権利」の比較衡量が必要です。これを踏まえ、現代の看護では、自らの考えを他者に伝え、意見の違いも受け入れることが求められます。
このように、当ゼミでは看護における倫理的課題を含む女性の権利とその意味を俯瞰しつつ研究を遂行します。

QOLを正面から扱う慢性期看護は現代社会のキーワード
研究テーマ:慢性期看護、外来看護、慢性病と生きることへの支援
教授 小田 和美(実践看護学分野 成人看護学領域)
慢性期看護学は生活習慣病などが対象と思われがちですが、多くの病気がいずれ慢性化することから、実際の範疇は非常に広範にわたります。
例えば、地域訪問看護に携わる学生が、褥瘡ケアの他職種にわたる連携を取り上げたり、また糖尿病看護を専門とする学生が、患者の自己注射による皮下硬結のリスク評価について研究しました。昨年度の入学者の例では、移植コーディネートに関わる学生が、患者さんのセルフケアについてテーマの絞り込みを行っています。
看護の現場に身を置く学生と接していると、修士コースで取り組める以上に大きなテーマを持ってくるケースが見受けられます。それらを丁寧に解きほぐし絞り込み、研究に落とし込む過程は、非常に大切です。私を含めた3名の教員が、演習とゼミを通じてテーマの解明点、未解明点を明らかにし、学生自身の興味関心を生かした研究ができるよう、しっかりとサポートしていきます。

高齢者看護、地域看護の視点でQOL向上に寄与する研究を。
研究テーマ:老年看護、摂食嚥下リハビリテーション、地域連携、口腔ケア、食べる支援、がん口腔ケア
准教授 村松 真澄(実践看護学分野 地域生活看護学領域)
当ゼミでは、主に高齢者の生活の質の向上に関わる基礎的研究を行っています。例えば「生活寒冷地における地域在住高齢者の外出頻度と、外出自己効力感との関係」という研究では、雪の多い地域の高齢者の心身の衰えの一因である閉じこもりについて、その予防法を考察中です。
また、「地域在住高齢者の健康習慣と生活の質との関係」に取り組む学生もいます。この研究は、地域の高齢者の健康にまつわる生活習慣の評価を行い、QOL指標との相関について考察中です。
現在、私自身は教育用の口腔ケアシミュレーターを本学デザイン学部と共同開発中で、看護学生や家庭介護者の技術向上を目指しています。こうした研究活動に共通するのは、生活者が病気や障害を持ったときも、社会に関わり生き生きと暮らすという考え方と、そのための看護の探求です。今後も学生の皆さんと共に、臨床で見つけた疑問や課題を持ち寄り、世の中を楽しく変えていくような基礎研究を行うことを目指します。

研究指導事例(2015年度)

がん看護の現場の声を聞き取り、意義ある研究へ
研究テーマ:がんサバイバーシップ、緩和ケア、エンド・オブ・ライフ・ケア
教授 川村 三希子(実践看護学分野 成人看護学領域)
当研究室では、がん患者とその家族の支援、がん看護に携わる看護師への支援、緩和やエンド・オブ・ライフ・ケアに関わるテーマに重点的に取り組んでおります。現在取り組んでいる研究は、看取りケアの実践関連要因、高齢がん患者の疼痛コントロールに対する主体的な取組、進行がん患者の治療継続のプロセス、看護系大学でのエンド・オブ・ライフ・ケア教育の実態といった研究で、学生の関心に基づいているため研究テーマは広範囲に及んでいます。テーマ設定の際は、研究の社会的意義を重視しています。臨床にとって意義ある研究へつなげるには、医療人である学生の臨床疑問やリアルリーズンに忠実であること、そして研究のシードを丹念に拾い上げるディスカッションが大切です。臨床はリサーチクエッションの宝庫です。臨床実践から探求する面白さを、私やゼミの仲間と共に探求していただきたいと願っています。

現場ニーズに発した研究が、分野貢献にもつながります
研究テーマ:在宅看護学、国際看護、認知症看護、難病看護、QOL
教授 スーディ神崎 和代 / 准教授 菊地 ひろみ(実践看護学分野 地域生活看護学領域)
在宅看護学の研究テーマの対象は幅広く、訪問看護、在宅療養者と家族・介護者、在宅看護ネットワーク、在宅看護教育など、自分の関心あるテーマを自由に選んで探求することができます。研究によって得られた知見は在宅看護実践につながり、ひいては在宅療養者や家族の安定や向上へとつながっていくはずです。経験知を理論につなげる面白さを体感していただければと思います。将来的には高度実践者の教育にも取り組んでいきたいと考えています。ゼミは家庭的な中にも、活発に意見交換が行われ、時には教員からの難題に頭を悩ませるなど、互いに高め合う雰囲気を備えています。仕事や家庭と研究活動の両立に励む学生が多く、多忙な中にも熱意を持って研究活動に取り組む先輩から、刺激を受けることも多くあるでしょう。是非勇気を持って飛び込んでいただければと思います。

看護師の力となる「活用できる研究」を重視し、根気よく指導します
研究テーマ:看護教育学、看護職の専門職性、実習安全、Art in Hospital
教授 定廣 和香子(看護マネジメント学分野 看護教育・管理学領域)
各看護学が患者を対象とし、専門性に応じた教育を提供するのに対して、看護教育学の対象は看護学生・看護師であり、テーマも各分野の教育に共通する部分を扱います。看護教育学の理念は、看護師のキャリアアップ支援の一助となることです。そこで活用可能性の高い研究を積み重ね、安全教育などのプログラムや評価システム構築などの形で、臨床への還元を目指しています。ある学生は、手術室担当看護師の経験が積み重なっていないことに気付き、患者の安全を守るための個々人の行動を調査しています。また別の学生は、看護師の直感的な実践を解明したいという問題意識から実務経験を分析しました。こうした臨床経験のある学生たちの豊かな感性を受け止め、やりたい事の本質を引き出すのが私の役目です。経験豊かな実践派の教員が率いる稀有な看護学部の一員として、現場の経験則が改めて価値づけされる、そういった研究指導を目指しています。