札幌市立大学 リベラルアーツ教育ポリシー
liberal arts policy
基本理念
急速に社会情勢が変化している現代において、その時々に応じた新たな能力を身につけながら、変化する課題の本質を見極め、解決しようと挑戦を続ける人材が求められています。特に札幌市においては、広範な面積を有しつつさらに都市機能が集約する政令市としての特徴、急速な少子高齢化による社会構造の変化や、世界に類をみない積雪寒冷地に立地する大都市という地域特性等により、今後も多様な社会課題が顕在化することが予想され、これらの課題に対峙できる人材への社会的要請は大きくなっています。
本学では、このような社会背景を踏まえ、リベラルアーツを身につけた人材育成が重要と考えます。そのため、以下の4つの態度を涵養し、学生の「学ぼうとする態度」を引き出す教育を本学のリベラルアーツ教育と位置付けます。
- 知識をただ蓄えるのではなく、問題解決に向けて柔軟かつ的確に活用しようとする態度
- 未知の体験に対して驚きや違和感を受け止め、深い学びへと昇華しようとする態度
- 既成の価値観に依存せず、自ら問いを立て、独自の視点で論理を構築しようとする態度
- 他分野に知を開き、異なる視点や知見を積極的に吸収し、連携を図ろうとする態度
本学は学生が「学ぼうとする態度」を大学在学中のみならず、生涯にわたり持ち続けることにより自律的に成長し続けることを願います。本ポリシーでは「学ぼうとする態度」に必要な要素と、それを育むために本学が提供する学修環境を示し、これらを教育活動の原則として持つこととします。
学ぼうとする態度に必要な要素
1 好奇心・興味関心
未知の事柄に対して「なぜ?」と問いを持ち、理解しようとする態度です。学びの出発点であり、情報を受け取るだけでなく、自ら探しに行く動機を生み出します。好奇心は新しい環世界 ※ への扉を開き、学びを能動的にします。
※ 環世界:生物が同じ環境でもそれぞれ違う情報を知覚し、異なる世界を生きているとする生態学の概念。転じて、立場や経験の違いから、同じ状況でも人によって異なる認識や解釈を持つことを指す
2 自発性・主体性
自分の意思で学びを選択し、行動する力です。内発的動機に基づき、学びを自分ごと化します。これにより、学生は自由と責任を持って自らの学修に取り組みます。
3 自己理解
自分の強み・弱み、価値観、興味を把握し、自らの成長に必要な学びの方向性を定める力です。自己理解が深まることで、学生は「何を学ぶべきか」「どんな方法が合っているか」を判断でき、学びの質が高まります。
4 探究心・問いを立てる力
表面的な理解にとどまらず、その背景や物事の本質を追求する姿勢です。問いを立てる力は、学びを深めるための重要なスキルであり、批判的思考や創造的発想につながります。本質をついた良い問いは、課題解決に資する新しい発想や知恵を生み出す起点となります。
5 継続力・粘り強さ
困難や失敗に直面しても諦めず、志を共にする仲間をみつけて、希望を持ち続ける力です。学びは一度で完結せず、試行錯誤を伴います。継続力は、長期的な成長や専門性の獲得に不可欠です。
リベラルアーツを育む環境づくりの基本方針
1 心理的安全性のある学びの場
学生が安心して挑戦できる環境を整備し、試行錯誤を学びの価値として捉える組織風土を教育活動の中で大切にします。また、疑問や「わからなさ」を恥じらうことなく率直に共有できる場を皆でつくり、学びを愉しむ過程を具現化します。
2 多様な刺激と選択の機会を備えた学びの場
学生が新しい視点や発想に触れられるよう、教員の研究分野や専門性の幅広さを活かした教育や論文、書籍、作品、活動実践など多様な刺激にアクセスする機会を提供します。また、正課内外で学びの場を選択する機会を確保します。このような環境は、学生にとって「新しい環世界への入り口」となり、未知への好奇心や探究心を自然に引き出します。その結果、これまで見えていなかった課題の本質や、解決方法が新たに見えてくるようになります。
3 多様なロールモデルと交流による視野拡張
学生が教員や先輩の姿を通じて具体的な目標や学びのキャリアをイメージできるよう、ロールモデルをみつける手助けとなる場面を大学生活のあらゆる場面に意図的に設定します。また、異なる学年や異なる分野の学生との重層的な出会いと交流の機会を設けることで、多様な視点や価値観に触れ、学びの幅を広げます。こうした場は、学生にとって教わるだけでなく、教える(支える)側にも立つことで共に育ち合う組織風土を大学に醸成することに貢献します。
